はたして市場流通は巻き返しが可能なのか?
これまで青果物の流通は、戦後の食糧難の時代を乗り越えて発展してきました。
だから政策当局も、
生産拡大を推進して市場整備をして流通を円滑化させようという大きな社会的使命がありました。
やがて、その目的もほぼ達成されました。
むしろ現在ではご承知のとおり主食の米でさえ生産過剰で余っていて、この半世紀の間減反政策がとられてきましたが、まだ米余りが続いています。
しかも少子高齢化社会で消費拡大は望めそうにありません。
青果物も天候に恵まれちょっと過剰生産になると、需給調整が発動される始末です。
こうして大量生産の大量販売はもう機能しなくなってきたのです。大型量販店はどこも青息吐息状態です。
そこで小規模な生産者は最寄りの生産者直売所で販売していますが、なかには独自に販路開拓している生産者も増えています。
ソーシアルメディアを見ていても、そうした生産者の活躍が目立ちます。
無論、慣行農法ではなく自然栽培や個性的な栽培方法などで慣行農法との違いを打ち出しています。
もうこうした流れを食い止めることはできないでしょう。
市場流通はこうした対応策がとれず、呆然としている状態です。
長年、市場の経営者は待ってれば生産者は荷物を出荷してくれて、買い出し人は市場に仕入れにきてくれるものでしたの悠長に考えているようです。
ここにパラダイムシフトが起こっているのです。
市場は「せりにかけてみないと価格はわかりません」と答えているようでは、どんどん生産者も逃げ出すのです。
買出人も同じです。
だから私は市場流通のシェアが50%を割り込んでくる日もそう遠くないだろうとみています。そうなると、間違いなく価格形成力をなくしていきます。
こうした厳しい販売環境のなかではたして市場流通が巻き返しができるのだろうか?
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