花き業界ではそれなりの反響があったようです。
いま花き業界のみならず農産物流通には、販売不振のなかで市場外流通が拡大していて市場流通には大きな変革の波が押し寄せてきています。
そうしたなかで、話題作「花戦さ」が上映されたので、さっそく観てきました。
ながく戦乱の世が続き京の都は疲弊していた
京都では10年余も続いた
応仁の乱がありました。さらに100年たっても京都の町衆の心には戦乱の後遺症が大きくのしかかっておりました。
一方で
南北朝時代は大きな文化の華が開いたバサラの時代でした。
そうした時代背景のなかで、この映画は友人・利休の仇討ちのために秀吉に刀ではなく花で立ち向かったという
池坊専好の話です。
クライマックスは専好が立派な生け花「大砂物」を発表するところ。
いまの時代にしては、豪華キャストを揃えどや顔で受け狙いの映画としては評価が高いのかもしれません。
結論を先にいうなら、時の権力者に死を覚悟しながら、勇敢に花とともに
徒手空拳で立ち向かった専好に
快哉を叫びたいところです。
しかし、ないものネダリをさせていただくなら、
応仁の乱後、京都の疲弊した町を描くのにもっと時間を割いてもよかったのではないだろうかと思いました。
さらに全体的な色調が暗く感じました。
むろん日本の家屋は一般的に色調は暗いとも思われますが、屋外の河原などの色調はもっと明るさを出しコントラストを感じさせてくれたら、さらにクライマックスのシーンが生きてきたのではないでしょうか。
とは言うものの
池坊専好を演じた
野村萬斎の声には痺れました。
狂言師としての厳しい修行もあったのでしょうが、花を生けるときの背筋をピンと伸ばした姿勢もじつに素晴らしかった。
解説書によると
室町時代に
紫雲山頂法寺(六角堂)の僧侶の
池坊専慶が生けた花が評判となったことをきっかけに、
池坊専応が生け花の理論を確立。その志を受け継いだのが
池坊専好。
六角堂の長として執行を務め、伝統的な立花の型を継承しつつ、それを発展させる。
戦国大名の屋敷に呼ばれ花を生けたこともしばしば。
前田利家邸では横幅7.2メートルという大型の作品を披露したのだとか。
池坊を含めてもっとバサラの世界の探索を、角度を広げて人知れず楽しみたいと思っている。
久方ぶりの映画に感謝したい。